光のいのり

積極的傾聴

自己理解と積極的傾聴、自己を客観的に理解するのが容易な時代に必要なこと

自己理解と積極的傾聴

今回の記事は「自己理解と積極的傾聴、自己を客観的に理解するのが容易な時代に必要なこと」ということで、積極的傾聴が自己理解にどのように影響するかを書いていきたいと思います。

基本的に私が言う、積極的傾聴とは、カール・ロジャーズが提唱した「来談者中心療法」の影響を強く受けています。

自己理解と積極的傾聴、自己理解とは何か?

自己理解と積極的傾聴_自己理解とは何か

自己理解とは、読んで字のごとく、自分を理解するということです。

私は、自己理解には2つの種類があると考えています。

1つは主観的自己理解

これは、自分の感情や思い、身体の感覚をありのままに表明できるということです。

2つめは、客観的自己理解

これは、自分を物のように客観的に捉えることで、数値化したり、他人と比べて評価することで、社会の中で丁度良く立ち回るための理解です。

現代社会では、この2つの自己理解がある程度深まっていないと、生きづらいと言えるでしょう。

自己理解と積極的傾聴、積極的傾聴とは何か?

自己理解と積極的傾聴_積極的傾聴とは何か

積極的傾聴とは、カール・ロジャーズの提唱した来談者中心療法の流れを受けた傾聴方法です。

来談者中心療法とは、以前は非指示療法とも呼ばれていて、傾聴者が語り手に対して、まったく指示をせず、語り手の語りを聞き、支え、感情移入的に理解するということを繰り返す心理療法です。

ただ話を聞くだけ?と疑問に思う人もいるかもしれませんが、積極的傾聴をする傾聴者は、

  1. 自己一致
  2. 無条件の肯定的関心
  3. 感情移入的理解

と言われる、3つの態度条件を同時に満たし、語り手に、通常では考えられないほどの自由で安全な時間を提供します。

それは、傾聴者が自分自身の自己を手放し、語り手の世界に没入し、ともに語り手の世界を探索するかのような非常に奥深いアプローチです。

積極的傾聴が深める自己理解とは?

自己理解と積極的傾聴_積極的傾聴が深める自己理解

積極的傾聴が深める自己理解は、主観的自己理解です。

語り手は、最初は、主観的自己感覚を解放できず、これまでずっと囚われてきた、ある一定の客観的自己理解を提示します。

しかし、受容的態度の傾聴者に向かって語っているうちに、徐々に主観的自己理解を自由に解放していくことができるようになります。

そして、今ココ、ありのままの自分の感情や思い、身体の感覚を自由に感じることができるようになり、曖昧だった自分という感覚が徐々に鋭くなっていきます。

十分に機能する人間に

自己理解と積極的傾聴_十分に機能する人間に

語り手は、少しずつ自分自身がリアルなもの感じられるようになり、元気を取り戻すのです。

主観的自己理解が深まり、今ココ、ありのままの自分自身の感情、思い、身体の感覚を自由に受け入れられるようになると、余裕をもって、より妥当な、新しい客観的自己理解も深めていけるようになります。

自分の感覚と、他者から見られている自分がしっかりと分かれ、その両方を同時に落ち着いた気持ちで保持できるようになります。

そして、自分らしさを保ったまま、社会にとって丁度良い役割を果たすことができるようになるのです。

それが、積極的傾聴が目指す、ロジャーズの言った「十分に機能する人間」だと私は理解しています。

積極的傾聴が自己理解を深める仕組み

自己理解と積極的傾聴_積極的傾聴が自己理解を深める仕組み

なぜ、傾聴者が語り手に対し、自由で安全な時間を提供すると、語り手の主観的自己理解が深まるのでしょうか?

特に主観的自己理解が弱い語り手は、ありのままの自分の感情や思い、身体の感覚を表明することが難しいです。

それは、これまでの人生の中で、自分の主観的自己感覚に対して、否定的で客観的な評価を繰り返し受けてしまったことで、自分の主観的自己感覚をそのままに感じることが、危ないことである、いけないことであるというふうに、深く身につけてしまっているからです。

人間は、特に自分の力で自分の生活を支えられるようになるまでは、時間がかかりますので、自分を保護してくれる立場にいる、身近な人の否定的な評価を受け続けることは、非常に危険なことです。

ですから、ありのままの自己感覚である、主観的自己感覚を抑圧し、捻じ曲げてでも、その環境に適応しようとしてしまうのです。

しかし、主観的自己感覚は、人間が健やかに元気に生きることにはとても大事な感覚です。

それは、身体や心が真っ直ぐ欲している感覚でありますので、傾聴者によって、本当に自由で安全な環境が用意されたとき、語り手は、それまで抑圧していた、主観的自己感覚を解放する方向へと自然に向かい、主観的自己理解を深めていくことができるようになるのです。

自己肯定、自己否定は客観的自己理解

自己理解と積極的傾聴_自己肯定と自己否定

積極的傾聴が解放するのは主観的自己感覚です。

ちなみに、自己肯定や、自己否定は、「私」を対象化しなくてはできませんので、客観的自己感覚に基づいたものです。

主観的自己感覚は「私」の感覚の表明そのものであり、それだけです。

ただ、ありのままの自分の感覚を表明するということ。

この感覚を磨くことが主観的自己理解を深めるということであり、積極的傾聴が手伝うことが得意なところ、というわけです。

今、積極的傾聴で自己理解を深めた方がよい理由

自己理解と積極的傾聴_積極的傾聴で自己理解を深めた方がよい理由

現代社会は、科学が進み、人間を物のように扱い、適切に評価するような手法がかなり進んできました。

一定の正しい人間を創る方法、客観的に優れている人間を育てる方法みたいなものがどんどん充実してきているように思います。

しかし、果たしてそれで人間は本当に元気になっていけるのでしょうか。

客観的な自己理解も、社会の中で豊かに暮らして行くにはとても大事なことです。

人間全体が、客観的自己理解を深めていくことは、特に物質的な豊かさに直結するでしょう。

しかし、主観的自己理解を深めることなしに、人間の精神性が満たされ、満足していくことは難しいのです。

物質的な豊かさに反比例するように、精神的豊かさが貧しくなっていってはいないでしょうか?

人間ひとりひとりの主観的自己理解を深めていくことが、より大事な時代なのではないかと私は思っています。

自己理解と積極的傾聴、おわりに

自己理解と積極的傾聴_おわりに

「自己理解と積極的傾聴、自己を客観的に理解するのが容易な時代に必要なこと」ということで書いてきました。

自己理解には主観的自己理解と、客観的自己理解があり、積極的傾聴(来談者中心療法)によって深めることができるのは、主観的自己理解のほうだとわかりましたね。

主観的自己理解は、人間が自分らしく、元気に生きていくために大切なものであり、物質的に豊かな社会をつくるための、客観的自己理解の方法があふれている今こそ、深め、育てる必要があるものである、と書いてきました。

私は、主観的自己理解をもっとも効果的に深めることができるのは、カール・ロジャーズの来談者中心療法と、エンカウンターグループを使った、積極的傾聴型のアプローチであると信じています。

物質的に豊かな時代だからこそ、必要な積極的傾聴、機会が合ったら、是非体験してみてくださいね。

黒田明彦でした。

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