数年ぶりに、所属しているカウンセリング(積極的傾聴)団体のロールプレイの学習会に参加してきました。
実りが多く、非常に面白い学習会でした。
今回の記事ではそこでの気づきを書いていきたいと思います。
「運命を引き寄せるもの」
「エネルギーの源泉」
カウンセリング関係者以外の人にとっても面白いと思えるのではないかという気づきもありましたので、是非読んでみてください。
①事前に10分間の積極的傾聴場面を録音し、それの逐語録を作成し、そしてそれを皆で持ち寄って発表し、検討し合う。
②事前に先生が書いた案内文への感想を300字以内で作成し、それを皆で持ち寄って発表し、検討し合う。
③エンカウンターグループ
こんな構成で、3泊4日スケールで学習してきました。
【運命を引き寄せるということ】逐語録の作成で学んだこと
今回、面接場面を録音し、逐語録を作成したことで学んだことは、私がどれだけ、普段ありのままの事実を聞けていないかということを突きつけられたということです。
録音されたものを一言一句文字に起こしていくときに思うことは、相手が声にした通りに言葉を聞くこと、私が声にしたとおりに言葉を聞くこと、これが、どれだけ難しいことかということです。
本当に何度も何度も聞き直さないと、録音されている通りの音のままに言葉を再現できない。
これが現実なのです。
私は、普段、相手の声にした言葉のすがたのままに聞けていないことを、ほとんど自覚できないんだ、というのがあらためての大きな、大きな気づきでした。
相手の言葉のすがたのままに聞けていないところで、相手のことをわかったり、相手に傷つけられたと感じたりしている。
悲しいほど、絶望的なほど、思い込みの世界に生きている、それが私なんだと、まざまざと見せつけられました。
波動、振動、エネルギー
今回の録音、逐語録作成の機会で気づいたことはいろいろあります。
もう1つの大きなところは、私は、録音面接中、相手の強く、厳しい発言にショックを受けたと記憶している場面があったのですが、録音されているその場面をあらためて聞いてみると、そのときの相手の言葉は強く、厳しいものではありませんでした。
ただ、少し声が振動していただけでした。
私は、その振動に反応し、相手のちょっとした言葉を、強く厳しく感じ取ってしまっていたようなのです。
言葉の意味や、内容に関係なく、声の振動は、エネルギーを増幅させることがある。
相手の言葉がしっかり聞けていないのに、傷ついたり、落ち込んだりできるのは、その振動を受けてのことかな、と思えたのでした。
振動は隠れた思いを教え、また、隠れた思いを触発する。
振動は、隠れているエネルギーの存在を教えてくれるようなのです。
【運命を引き寄せるということ】運命という現実を引き寄せる
今回、初めて、自分が語り手の立場になっている面接場面の逐語録を見せていただける機会に恵まれました。
これは、とても貴重な経験です。
パッと見た瞬間。
ヤバいと思いました。
私は、あるひとつの大きな発見をしました。
内面と現実のギャップ
この面接を録音しているときの私の心境は、相手の傾聴者の人に壁みたいなものが出来上がっていて、頼ろうとする気持ちもなく、どちらかというと拒否的でした。
面接場面自体にも、傾聴者への印象も、この日はなぜか否定的な気分に包まれていて、意欲的に取り組めない、という心模様でした。
ですから、録音された場面をあらためて聞かせてもらい、逐語録を見るまでは、どれだけふてくされていたり、拒否的な私の態度が出てしまっているだろうか、という想像をしていました。
しかし、実際に録音された場面を聞かせていただき、逐語録を見てみると、語り手役(私)の語りは、非常に建設的で、ひとつも無駄がなく、大きな展開を含む、素晴らしい面接でした。
軽薄な部分はどこまでも軽薄だったし、笑っているところは楽しそうだった。そして、深く、深く、味わい深いところもあった。
現実として、声になっている言葉のままに、私は開かれていた。
あの日の私のベースになっていた、心境、心模様とは、関係なく、
言葉が声になっているところで、傾聴者の応答と、呼応しながら、私という現実は転がっていたのです。
ここ。
このギャップ。
あの日、私の現実は、私の心境、心模様にほとんど関係なく、私が声になったところと、傾聴者の呼応によって、転がっていたのです。
私が発見した、運命をひきよせるもの
伝わりにくいだろうと思いますが、私が発見したところ、それを説明してみます。
私は、私の心境、心模様、つまり内面が大いに私の現実に影響を与えているものだと思い込んでいました。
しかし、それとは比較にならないほど大きく、私の声になっているところが私の現実に影響を与えているということを発見したのです。
どうやら、運命という現実を引き寄せるのは、私の内面ではなく、私の声になっているところ、のようです。
【運命を引き寄せるということ】エネルギーの源泉
今回のこの研修に向かう準備の段階から、私は、これまでどうしても出会っていくことのできなかった、母への思いについて、出会っていくことができました。
それは、なるべくしてなったところ、はこばれてきたという感覚でいっぱいです。
私は、私の人生の苦しみ、生きづらさがすべて母との関係で決まってしまうと考えるのが嫌でした。
僕の苦しみは、母さんのせいではないよ。
母さんは、母さんなんだ。
僕はもう大丈夫なんだから。
そう言ってあげたかった。
そう自分に言い聞かせていた。
しかし、現実は、
1つだった母とちぎれて、2つになってしまった。
その痛み、苦しみを抱えたまま生きている。
そのどうしようもない痛み、苦しみがなくならない。
強烈な喪失感が埋まらない。
私は、言葉を声にすることで、その現実をはっきりと受け止めることができたのです。
母のせいではない、が言えて。
2つにちぎれてしまった痛みが、苦しみが、言えて。
そして、やっと、大好きだった、今も大好きである、母への思いが言えた。
そこまできたところで、私は、離れ離れになっていた、私のエネルギーの源泉に、ふれることができた気がしたのです。
母と1つだった。
母が大好きだった。
他になにもいらなかった。
満足だった。
もう、他の人にも分けてあげたいくらいだった。
あの時の感覚が。
あの思い出が。
私のエネルギーの源泉なんだ。
【運命を引き寄せるということ】おわりに
久しぶりに参加してきた、ロールプレイの学習会。
個人のロールプレイ学習会ではなく、東京カウンセリング研修センターが開催するロールプレイに参加するのは数年ぶりでした。
楽しかったなぁ。
ああやって、真摯に言葉のすがたに向き合う、事実に向き合うことのできる学習の場が、世の中にどれだけあるのでしょう。
というか、逐語録作成を何度も何度も重ねてきた人たちが、10人くらい集まるような場って、めちゃくちゃ貴重じゃないかな?と心底思います。
まず、めちゃくちゃ手間ですからね、逐語録作成。
しかも、残酷なほどの事実を突きつけられるから、しんどいんです。本当に。
これを、ほとんどの参加者が、資格とか、名誉のためにやっているのではなく、ただ、自分の学習のためにやっている。
まさに学習者が集った場。本当にすごいことだと思うんですよ。
ああいう場がちゃんと残っていくかどうか、本当に大事だよなぁ。
ああいう学習者を育てていきたいなぁ。
だって、楽しいもの。
楽しいよなぁ、学習。
楽しい。
黒田明彦