積極的傾聴を受けてみたいけど、何をどう話して良いか分からない。
そんな不安を抱えている方は結構多いのではないでしょうか?
今回は、「積極的傾聴で話すことがないときの対処法・心構え」ということで、積極的傾聴の利用に慣れていない人の為に、自分を語るということのイメージを深めていただければと思います。
是非読んでみてください。
積極的傾聴ってどういうことをするの?

そもそも積極的傾聴ってどういうことをするのでしょうか?
積極的傾聴は、非指示療法・来談者中心療法と呼ばれる、カール・ロジャーズが創始した心理療法の影響を強く受けています。
傾聴者が語り手の語る言葉に徹底して耳を傾け、感情移入的に理解しようとするアプローチですね。
というわけで、積極的傾聴の進行は、語り手の語り次第ということになります。
傾聴者は語り手が、深く深く語られるように細心の注意を払い、そのための専門的な配慮を技術としています。
傾聴者から直接心理指導やアドバイスがある場合もありますが、それらはおまけみたいなものなのです。
積極的傾聴で話すときの心構え

これから、積極的傾聴のときに、どのように話したらいいかということについて書いてきます。
是非参考にしてくださいね。
積極的傾聴では最初に何を話したらいいの?

積極的傾聴の始まりは、緊張感もあり、なかなかどう切り出していったら良いものか分からないと思います。
傾聴者の立場から言うと、何をどこから、どのように話していただいてもかまないですよという感じなのですが、「そうは言われても・・・」という感じですよね。
積極的傾聴の時間が、1時間だとすると、最初の10分、15分は無理して一生懸命話そうとしなくても良いぐらいの気持ちでも大丈夫です。
とにかく、その場面を取り繕うとするよりも、今の自分の気持ちにフォーカスをじっくりとあて、言葉にしたい気持ち、話してみたいことがらに思いをはせてみてください。
積極的傾聴が始まる前から、「この話をしよう!」と決めておくとスムーズですが、話してみるとあまり気持ちが乗らなかった・・・。ということもあります。
そういうときもあせらず、じっくりと自分の気持ちに浸ってみましょう。
上級者は、話すことがないときは、「今、話したいことが浮かばなくて・・・」とそのまま声にします。
すると、傾聴者は、その気持ちをそのままに受け止めてくれます。
不思議なことに、今の自分の気持ちをそのままに、受け止めてもらえると、次の言葉がどんどんとやってくるものなんですよ。
困ったときには、「困った」と声にだして言ってみる。
これがコツです。
そもそも自分を語るということの練習は、皆ほとんどやってきていない

そもそも、私たちは、これまでの教育で、自分の内面の世界を自由に語るという経験をしてきていません。
これって、結構繰り返し訓練していかないと、なかなか上手にできるものでもないんですよね。
自分は語るのが苦手・・・と感じている人もいるかもしれませんが、わりとその苦手感って、一般的だったりします。
たとえば、四六時中ぺちゃくちゃお喋りしているような、お喋り大好きな人が、必ずしも語ることが上手なわけではないのです。
お喋りと、自分を語るとは、別の行為なのです。
自分を語ることが上手くなるには、自分を語る機会を多く持つしかありません。
積極的傾聴を自分を語る練習の場と捉えてみてください。
積極的傾聴では考えて話さない

学校では、先生に、
「しっかりまとめてから話しなさい。」
「よく考えてから話しなさい。」
「正解を言いなさい。」
さらには、
「先生の頭の中にある答えを当てなさい。」
こんなことを要求されるのが当たり前だったのではないでしょうか。
これは、積極的傾聴の場面では全部逆です。
「頭の中で考えずに話しなさい。」
「自分の声を聞きながら、言葉が進むままに語りなさい。」
「あなたの言葉に正解も不正解もありません。強いて言うなら、全ての言葉が正解です。」
「私(傾聴者)への気遣いをせずに話しなさい。」
これが、積極的傾聴での話し方です。
なかなかピンとこないかもしれませんが、とにかく何でもいいから、声にすることから始めるというのが基本なのです。
正しく語るのではなく、ありのまま語る。
積極的傾聴はその練習の場だと捉えてください。
積極的傾聴では、傾聴者の為に話さない

積極的傾聴で、自分のところを語るとき、それが、相手にとってどうか(傾聴者にとってどうか)ということを極力考えないようするのも大事です。
こんなこと言っても、意味ないかな?
ウザいと思われるかな?
めんどくさいと思われるかな?
相手のことを考えながらでは、なかなか自分のところを深く語っていくことはできません。
積極的傾聴では、語り手が傾聴者の為に語るのではありません。
傾聴者を喜ばせようとか、傾聴者に嫌われないようにするとか、語り手が傾聴者の存在を気にしているうちは、なかなか深いところまで語るのは難しいです。
語りに没頭しすぎてしまって、目の前の傾聴者の事を忘れてしまうぐらいで丁度良いのです。
傾聴者にしてみても、そこまで集中して語れている語り手を見るときは、傾聴者冥利に尽きるというものなのですから。
積極的傾聴に必要なのは自分の身体と心にそった言葉を聞くこと

積極的傾聴で大事なのは、今自分が声に出来ている言葉が、自分の身体にピッタリしているかどうか、自分の心にピッタリとしているかどうかです。
積極的傾聴の目標の1つは、今の自分にピッタリする言葉に出会っていくということです。
そのためには、語りながら、自分の言葉を自分でしっかり聞いていなくてはなりません。
少しずつ、少しずつ、ありのままの自分に添う言葉に近づいていく感じ。
そして、自分にピッタリする言葉に出会えた時、「言えた!」というとてもスッキリした感じがおとずれ、癒されます。
「言えた」と「癒えた」は同音なだけでなく、体験としても近いのです。
語るということは、この語り手の「言えた!」という体験に傾聴者と語り手が二人三脚で向かっていくような取り組みだとイメージしてください。
積極的傾聴では感覚的に語る

語りが深まっていくと、自分の言葉が、自分の思考より早く声になるという感覚になることがあります。
これが、感覚的に語るということです。
気が付いたら声になっていた。
思わず言ってしまった。
考えなしに言葉が飛び出してしまった!
そんな経験が日常にもポツポツとあるのではないでしょうか。
上手くいっている積極的傾聴は、語り手が感覚的に語ることができている積極的傾聴です。
なかなか体験してみないとわからないでしょうが、基本的に傾聴者は語り手が感覚的に語れるようにサポートします。
自分の言ったことに驚く。
思いもしないことが言えてしまった。
これは、積極的傾聴の醍醐味です。
是非、体験してみてください。
積極的傾聴で話すことがないときの対処法・心構え おわりに

「積極的傾聴で話すことがないときの対処法・心構え」ということで書いてきました。
積極的傾聴とは、自分を深く語るための練習の場、今の自分にピッタリの言葉に出会い、癒される場、そして、感覚的に語る場というように捉えると、何を話したら良いか?ということが自ずと見えてくるのではないでしょうか。
純粋な傾聴者は、語り手の自分語りを非常に繊細に助ける存在です。
時々、参加してきますが、それはおまけみたいなものです。
積極的傾聴は、あなたが、あなた自身に出会っていく貴重な機会です。
是非、興味を持って、体験してみてください。
黒田明彦