自分を苦しめているのは自分じゃん!
自分を肯定したらいいんだよ。
自分に優しい言葉をかけてあげればいいんだよ。
何度も何度も聞こえた言葉。
だけど、なかなかうまくいかなかった言葉。
自己愛に必要だったもの

なんか、容易いもんじゃないみたいなんだ。
どうも、私が自己愛に到達するには、大変な絶望が必要なみたいなんだ。
絶望、否定、拒絶、罵倒、攻撃・・・。
自分に対して、そんな音のない言葉が、悪魔のようにどんどん聞こえてきていた。
本当に毎日、毎日、どんどん、どんどんと、聞こえてきていた。
他人に対しては、もう少し優しい気持ちがわくのに、なんで自分自身にはこんなに激しく辛い言葉が到来してやまないんだろう。
不思議だった。
死にたい、殺したい、そんな言葉すらやってきていた。
死にたくない、殺したくないも同時にやってきていたからまだ生かされているけどね。
40代に突入して

40代に突入し、一気に人生の選択肢が狭まった気がした。
自分の社会的な信用、価値が大きく揺らいでいく気持ちに押しつぶされそうになった。
40代には、40代になってみないとわからないことがある。
まさにそんな感じだ。
「働け、働け、なにやってるんだ、お前はどんどん使い物にならなくなっていくぞ。」
「お前は、どんどん信用されない何かになっていくんだ。」
強く、苦しい音のない言葉ばかりがやってくる。
「お前は誰にも必要とされない。」
「まだわからないのか。」
言葉が、悪魔が私の心を殺しにやってくる。
悪魔は尚も囁く

そして、今朝、
「もう、お前は結婚もできず、子をなすこともないぞ。」
そんな言葉がやってきた。
別にもともと結婚願望なんてないし、子供も欲しくない。
30代のときは、それを自分で選んでいるという余裕があった。
「もうお前は不可能なんだぞ。」
そんな言葉が聞こえてきたとき、私は意外にも強い孤独感に襲われた。
「お前には何もない、これからはもうひたすら失っていくだけなんだ。」
「結婚もできんし、子供もできん、お前は一人で、孤独な存在だ。」
実際はどうとか、可能性がどうとかは関係ない。
ただ、ただそんな強く、厳しい言葉が私に向かってやってくるんだ。
苦しい。苦しい。
投げ出したい、だけど投げ出せない。
運命の言葉がやってくる

そこでね。
「かわいそう」
「なんてかわいそうなんだ。」
そんな言葉がやってきた。
そして、運命の言葉がやってくる。
誰かが私を愛してくれる、誰かが私をどうにかしてくれる。
「あーそれ、もう無理なんだな。」
「あーそれ、もうあきらめるしかないんだな。」
ここなんだよ。
ここだったんだよ。
もうこうなったら、こんな自分を愛してあげたいじゃないか。
自分で自分を愛してあげたいじゃないか。
愛してあげたい。
愛してあげたいよ。
愛してあげたいじゃないか

なんでもいいじゃないか。
どうあってもいいじゃないか。
私なら私を自由に、際限なく愛してあげられるじゃないか。
思いつく限り、感じられる限り。
愛してあげる、愛してあげるよ。
私が私を愛してあげるよ。
それなら、どうなっても大丈夫じゃないか。
どんな私でも、どんな私でも、私は、私だけは、愛してあげるよ。
約束する。
だから、泣かないで。
だから、泣かないで

「だから、泣かないで。」
この言葉が聞こえたところで、私の目から涙があふれた。
泣いてたんだな。
私は。
あれだけ激しい言葉、私を殺しに来ていた言葉は、涙だったんだ。
泣いてたんだ。
泣いてたんだよ。
自分を愛す

自分を愛す。
どうしたらできるかな。
どうしたら泣かないですむかな。
自分に優しくしてあげるってどういうことかな。
自分を抱きしめてあげるってどうやればできるのかな。
誰よりも、誰よりも、誰よりも自分を。
守ってあげたい。助けてあげたい。優しくしてあげたい。受け止めてあげたい。
誰よりも、誰よりも、誰よりも自分を愛してあげたい。
どうしたらできるかな。
黒田明彦