エンカウンターグループという言葉をご存知でしょうか。
それは、感受性訓練ともいわれる、集団心理療法の1つです。
日本では現在はあまり流行っていませんが、一説によると、その効果は現代大流行しているコーチング的手法よりも大きいとか・・・。
今回は「エンカウンターグループって何?エンカウンターグループの特徴と効果」ということで、その辺りのことを書いてみようと思います。
興味のある方は読んでみてください。
エンカウンターグループの効果…の前に

エンカウンターグループとは何でしょうか?
エンカウンターグループとは、積極的傾聴の神様、カール・ロジャーズが考案した、グループセラピーです。
エンカウンターグループには、構成型と、非構成型のエンカウンターグループがあると言われています。
構成型エンカウンターグループ

非構成型エンカウンターグループ

ロジャーズの非指示的思想を強く受けついでいるのは、非構成型のエンカウンターグループであると思われます。
今回紹介するのは、非構成型のエンカウンターグループについてです。
そもそもエンカウンターグループって何をやるの?
エンカウンターグループは、5人~15人の人数が集まって行うグループワークです。(大規模なところでは20~50人で行われることもあるようです。)
世話人と呼ばれる実質的なファシリテーターが存在しますが、エンカウンターグループの活動の中心になるのは参加者の自発的な発言であり、世話人の指示や講義は一切ありません。
したがって、基本的には語り合う場所と時間が決められているだけで、その中身、内容は参加者次第となります。
20分の沈黙後・・・

エンカウンターグループはどのように進んでいくの?
エンカウンターグループの進行は参加者ひとり、ひとりに任されています。
与えられるのが当たり前、教えられるた通りに覚えていくだけの学習ではなく、見て聞いて感じたことを言葉にして、体験して、失敗して学ぶ体験学習の場です。
自発的に学ぶ責任と権利がそれぞれの人間にあるということを実感させてくれる場となっています。
形式的な知識学習ではなく、グループの中で血の通った、生きた人間関係を身体全体で学んでいく、そんな場です。
ひとり、またひとりと語りだす。
それがエンカウンターグループの進行の仕方です。
また20分の沈黙後・・・

エンカウンターグループの効果

さて、これからエンカウンターグループの効果について主だったところを書いてきます。
エンカウンターグループの効果を簡単にまとめると、参加者の感受性が普段より高まり、普段はとらえきれないような自分自身の深い体験を言語化でき、それをグループに受容してもらうことで、深い受容体験や、気づきを得ることができるということです。
これからもう少し詳しくエンカウンターグループの効果を説明します。
エンカウンターグループの効果・自分を語ることができる貴重な場を提供してもらえる
普段、皆さんはどれだけ自分の言葉を声にすることができているでしょうか。
友達と昨日のTVやyoutube動画の話題で盛り上がるための言葉。
先生や上司にたずねられた質問に答えるための言葉。
誰かのために合わせた言葉。
SNSでの言葉の発信。
普段、自分の言葉にふれる機会はこれぐらいでしょうか。
本当はそうじゃないんだけどな

私はこう感じているのに・・・

誰が教えてくれるの?

私って何者?

日常、なかなか自分を語る機会というのはないと思います。
自分を語るということは、自分と言う感覚が広がり、確かになり、豊かになる行為です。
まず、普段はなかなかない、自分を語る機会をそれぞれの参加者がもつことができるということ自体が、そのままエンカウンターグループの効果であると言えます。
グループに受容される、というのがエンカウンターグループの効果
皆の前で、自分を語る。
そして、それがそのまま、ありのまま受容される。
自分を語った。
自分の言葉を発した。
その言葉が誰にも否定されなかったという経験。
それは、そのまま、自分自身そのものを否定されなかったという経験です。
どんなに深く自分自身を語っても、それがグループによって受容されていく。
それは、実際に体験してみると、驚くほどに元気がもらえる体験です。

エンカウンターグループの効果である、このグループに受容されるという感覚は、一対一の積極的傾聴での受容され感覚よりも大きいのです。
傾聴者1人に受容されるだけじゃなく、多くの人に自分は受容されたと感じることができるからです。
これがエンカウンターグループの大きな効果のひとつです。
他人の深い語りを聞く機会が得られるのがエンカウンターグループの効果
エンカウンターグループの効果のもう一つが、他の参加者の深い語りを聞くことができるということです。
参加者による、普段は聞くことのできないような深々とした語りは、聞いてる人の深い部分をブルブル震わせ、まるで自分のことを言ってもらっているかのように、強く共感できたり、隠れていた自分の感情が動き出し、自分のところを語りたくなったりします。

エンカウンターグループの効果の大きなものの一つが、この深い感情エネルギーの触発力です。
人は、他人の深い部分にふれるとき、自分の深い部分を放っておけなくなるのです。
この触発が、普段よりも鋭い気づきを生んだりもするのです。
感情エネルギーの放出こそエンカウンターグループの効果
エンカウンターグループの深い語り合いによる感情エネルギーの触発・連鎖の中で、参加者の、普段は隠れている感情が表に現れるときがあります。
時には深い悲しみであったり、時には強い怒りであったり。

これらの表出された感情エネルギーもまた、グループによって受容されていくのです。
普段は心の奥の方に隠れている感情エネルギーが放出できたときの解放感、そしてそれが受容されたときの充実感は大変大きなもので、自分の世界が変わるほどの変化を実感できる人もいます。
これがエンカウンターグループのとても大きな効果です。
エンカウンターグループの副産物的な効果
エンカウンターグループの副産物的な効果として、相手の語りを支える聞き方を学ぶことができるということがあります。
エンカウンターグループの語り合いの中で、どういう聞き方をすれば、より人は深いところを語っていけるようになるか、そして、どういう受け止め方をすればより受容されたと感じ、元気になることができるか。
日常ではなかなかお目にかかれない深い交流の中で、それを研究、実践することができます。

これはなかなか他ではできませんので、エンカウンターグループの効果だと言えます。
エンカウンターグループの効果 おわりに

「エンカウンターグループって何?エンカウンターグループの特徴と効果」ということでここまで書いてきました。
積極的傾聴の神様、カール・ロジャーズが現代に残したのものは、このエンカウンターグループと、逐語録を使った積極的傾聴の事例検討の手法だと言われています。
現代では、このエンカウンターグループに参加する機会は少なくなっていますが、まだまだ全国のいろいろなところでエンカウンターグループを開催している団体はあります。
興味のある方はぜひ、参加して、エンカウンターグループの効果を体感してみてください。
もし、あなたのエネルギーが滞っているという感覚があるのなら、きっとはまりますよ。
黒田明彦