今回の記事は積極的傾聴の神様、カール・ロジャーズが提唱した来談者中心の積極的傾聴における、積極的傾聴の中核3条件について書いていきたいと思います。
非常に有名なロジャーズの来談者中心の積極的傾聴の3条件ですが、実践レベルではこの3条件はどのように活かされているのでしょうか。
興味のある方は読んでみてください。
カール・ロジャーズの来談者中心療法の3条件って?

カール・ロジャーズは、来談者中心の積極的傾聴において、語り手のパーソナリティが変化するために必要にして十分な傾聴者の3条件というものを提唱しました。
①傾聴者の一致性(純粋性)
②無条件の肯定的関心
③感情移入的理解
この3つが来談者中心の積極的傾聴の中核3条件です。
これから1つずつ簡単に説明していきます。
カール・ロジャーズの来談者中心の積極的傾聴の3条件①傾聴者の一致性

来談者中心の積極的傾聴の3条件の1つ、傾聴者の自己一致は、傾聴者が語り手の前で自分を偽らず、真実であるということです。
傾聴者のこの態度は、語り手にそのまま投影され、語り手がそれまで意識の上では拒否していた自分自身の体験を、自分の一部として認められるようになることを助けます。

この傾聴者の一致性は、カール・ロジャーズの言う来談者中心の積極的傾聴の3つの中核条件の中で一番大事なものとされています。
つまり、これから紹介する、残り2つの態度条件が、傾聴者にとって偽りではなく、真実でなくてはならないということが前提であるということです。
カール・ロジャーズの来談者中心の積極的傾聴の3条件②無条件の肯定的関心
無条件の肯定的関心は、来談者中心の積極的傾聴の傾聴者の哲学的側面が強く出る態度です。
- 傾聴者は語り手をひとりの人間として尊敬している。
- 語りては自分で自分の責任を果たしたがっていて、その責任を誰かに明け渡す気などない人間であると理解している。
- そして傾聴者は語り手をひとりの人間として好きである。
等々、カール・ロジャーズは、この無条件の肯定的関心をいろいろな言葉で表現しています。

そしてその態度は上述の通り、来談者中心の積極的傾聴の傾聴者にとって偽りのない真実でなくてはならないということです。
カール・ロジャーズの来談者中心療法の3条件③感情移入的理解

感情移入的理解は、来談者中心の積極的傾聴の傾聴者の技術的側面、そして傾聴者の感性の影響が大きい態度です。
来談者中心の積極的傾聴の感情移入的理解は、語り手の認識の外から理解、評価、指導をするのではなく、語り手の認識を理解し、あくまでその認識の範囲内で語り手とやりとりをしていくという関わりです。
傾聴者が、語り手の認識の外で語り手をとらえるという場合は、傾聴者から見た、傾聴者にとって感じられる語り手、つまり、傾聴者目線の語り手を中心にして関わるということです。
傾聴者が語り手の認識の範囲内で語り手をとらえるという場合は、語り手に見えている語り手自身、語り手の意識できている語り手自身を理解しようとすることです。
それはつまり、語り手目線の語り手を中心にして関わるということです。

このあたりは語り手中心、来談者中心療法の根幹にかかわる部分です。
語り手の認識の範囲内で関わっていくということは、語り手にとってはこの上なく安全、安心な関わりとなります。
そして、そのためにも来談者中心の積極的傾聴の傾聴者は、語り手の言葉や態度から語り手の認識の世界をしっかりと、とらえなくてはなりません。
それには傾聴者側の技術や感性が必要だと言うことです。
カール・ロジャーズの来談者中心の積極的傾聴の技術とは?

来談者中心の積極的傾聴の技術とは、この3つの態度条件を正確に語り手に伝えるための技術であると言われています。
傾聴者一生懸命これらの態度を保持していたとしても、それが語り手側に伝わっていなければ意味がないということですね。
カール・ロジャーズの来談者中心の積極的傾聴の3条件 おわりに

これがカール・ロジャーズの提唱した来談者中心の積極的傾聴に必要な態度の3条件について簡単に紹介しました。
頭で理解しただけでは、来談者中心の積極的傾聴の技術は、自己一致のもとに実践できません。
これらの理解が来談者中心の積極的傾聴の傾聴者にとって体験的に真実であることが大事なのです。
私は、来談者中心の積極的傾聴の傾聴者がこれらの態度を純粋に身につけるには、これらの条件をある程度満たす傾聴者に実際に聞いてもらう体験がどうしても必要だと考えています。
体験的に、それが効果的で、合理的で、そして人間が本当に欲するものであると実感できてこそ、苦しい訓練の末に、その態度を身につけていくことができるのだと思うのです。
本当に奥深く、興味深い技法ですよね。
黒田明彦