この記事では、カール・ロジャーズのパーソナリティ理論に出てくる命題2についての説明に挑戦しています。
命題2のポイントは、私たちの現実は、私たちの感じ方、受け取り方によって決まっているということです。
カール・ロジャーズのパーソナリティ理論をなんとかわかりやすく説明できないかと考え、できるだけ簡単な言葉で説明しようとして作成した全15話にわたる小説タッチの記事です。
カウンセリング、カール・ロジャーズ、パーソナリティ理論、来談者中心の積極的傾聴、人間理解に興味のある方は読んでみてください。
第4話 学習2日目 命題2
次の日。
パタパタと走ってくる小さなウサギ。
クーの声を遠くに聞いた老ウサギは、建物のドアを開けてくれていた。
年老いたウサギは嬉しそうに微笑む。
今日もクーは、小さな椅子にちょこんと座った。
命題2
有機体は、場に対して、その場が経験され知覚されるままのものに、反応する。この知覚の場は、個人にとって実在なのである。
(命題はロージァズ全集8巻パーソナリティ理論、第2部、第4章より引用)
クーは、命題2を聞いてすぐに、頭から煙を吹き上げ、机に顔を伏せてしまう。
私達の身体は、様々な出来事に対し、ひとりひとりの違った感じ方、受け取り方によって反応している。ひとりひとりの感じ方、受け取り方が、ひとりひとりの現実をつくっている。
ということは、わたしの現実は、わたしの感じ方、受け取り方次第で変わるということしょうか?
付け加えるとね、現実は、自分の感じ方、受け取り方次第で変わると言っても、私達は、都合よく自分の感じ方、受け取り方を変えられるわけではないということだね。
今、世界は、カウンセリングを必要としていると私には思えてならないんだよ。
クーは、下を向いて何かを考えている。
クーはカバンから水筒を出しクピクピと水を飲んだ。
先生は少し心配そうにクーの顔を覗き込む。
ニコッと笑うクー。
クーは、ササッと水筒をカバンに入れて、ペコッと会釈をして、小さな建物を後にした。
老ウサギは、走り去っていく小さなウサギに向かって、深くお辞儀をした。
第5話に続く